明野高・宮本さん 面白そうだからっていう単純な理由で始めた活動でしたが、目標を持ってやっていくと、私たちの活動が地域に還元されていって、肉質向上につながったり、実用化していただいている養豚農家さんで新たなブランド豚を作ったり、ちゃんと形として残っていったことが原動力になったと思います。
愛媛大附属高・近藤さん 私が小学校高学年ぐらいの時から、テレビでSDGsがよく取り上げられていて。こういうことが問題で、年々悪くなっていきますよと報じられているのを見て、結局、私は何ができるんだろうって思っていたんです。大きい企業とか行政の方々が何かを言ったら、私たちがそれに対応してやっていくのかなと思っていたけど、たまたま放課後に理科室で出会った理科部の研究メンバーの子たちは、自分たちで考えてSDGsに取り組んでいて、私にもできることがあるんだなあって思って理科部に入りました。私の家は山に近くて、海にすごい憧れがあったのですが、実際に調査をしてみて海がこんなに汚れていたと気づいた。今は、自分で解決したいという思いでやっているので、すごく充実しているなって思います。
愛媛大附属高・村上さん 高校生は、常識だと思われていることを、本当にそうかな?って素直に疑えるし、好奇心がある。例えば、バイオマスプラスチック配合のレジ袋って、本当に環境に優しいのかな?って思って、先輩たちと実験してみたんです。環境に良いなら土に埋めたら分解されると思っていたけど、3カ月くらい埋めてもほぼ分解されず、バイオマスプラスチックの配合率が高くなるほど分解されなかった。理由は検証中ですが、とりあえず、バイオマスプラスチックは全然ゴミとして環境に優しくないじゃんっていう感じでした。大人の事情をあまり考えずに、疑問に思ったことに挑戦できるのが高校生の強みだと思います。
明野高・金谷さん 時間に縛られることが多いところはマイナスでした。畜産は特にそうで、やっぱり生物を相手にしているので、しっかり計画を立てないと、失敗したら1年がすぐに過ぎてしまう。受験もあるので活動期間は2年ちょっと、と限られます。
五箇さん 欧米はそもそも環境に関する意識が、国も企業も高い。若者もそれをずっと見て、聴いて、育っているから、日本やアジアの国々と欧州で意識が違うのは当たり前。今の若い人が、というより、我々大人の責任が大きい。
一方で、両校の話を聞いてると、結構楽しく環境問題に取り組んでやっておられて、すごく自主的にやられていて、圧倒されました。日本の若者だって全然期待が持てると。研究は本人が楽しいと思えることが一番大事で、それがいい成果につながる。その気持ちを忘れないでいただきたいなと思いますし、そういった気持ちを我々大人世代がちゃんとくんで、サポートしていかなければいけないと思います。
明野高・宮本さん 私も金谷もそれぞれ別の大学に進学して畜産を学びます。私は、今回連携した研究室のある大学に進んで、飼料研究を続けたいなと。将来的には、今回私がやってきた活動をサポートしてくれた先生のように、何かをやりたいって思っている生徒を応援できる農業の教師になりたいと思っています。
愛媛大附属高・村上さん 身近なところから始めてみて、自分が興味のあることや疑問に思うことを周りに伝えてみたら、協力してくれる専門家はたくさんいると思うので、まずは動いてみてほしいです。
愛媛大附属高・近藤さん 高校は時間に限りがあるので、やるなら早めに、ちょっとでも気持ちがあるならすぐ始めてみるのが良いなと思います。
五箇さん いろんな遊びや友達付き合いも含め、経験値として大事。僕が大学に入った後はほとんど勉強もしないで、バイク旅行に夢中になり、バイトした金は全部バイクにつぎ込むみたいな生活だったけど、その時に日本を一周したりして、いわゆる地域性とか地方の固有性っていうのを肌に感じて、その大切さを知った。その経験は、今の研究にも生かされている。勉強も、体験したことは全部活きてくるので、限られた時間のなかで一生懸命取り組んで欲しいです。